コンクリートの中性化試験
皆さまこんにちは
コンクリートの中性化ってご存知ですか?
鉄筋コンクリートはその名の通り鉄筋とコンクリートで構成しています。
圧縮に強く伸びに弱いコンクリートは伸びに強い鉄と
鉄はコンクリートの強アルカリ性によってサビから守られ
お互いに長所を活かして短所を補完していることから
RC=Reinforced Concrete(補強されたコンクリート)と呼ばれています。
ですが、この強みはコンクリートのアルカリ性に依存します。
コンクリートは雨風にさらされることでアルカリ性から中性化していきます。
鉄は酸性はもちろん中性でも錆びてしまいます。
この中性化の速度は10年で10mmの深さで進むと言われています。
鉄筋を守るコンクリートのかぶり厚さは一般的に40mmですので
40年後には鉄筋が中性化したコンクリートに触れサビが発生し始めると言えます。
錆びると強度が落ち、サビが膨張しコンクリートを押し広げひび割れを起こします。
ひびから雨が入ります
錆び進みます
コンクリートが崩れていきます。
ああ、、、ということになります。
ですので定期的な検査が重要です。
昨日、20年前に建てさせていただいた鉄筋コンクリート造の共同住宅で
階段手すりの取り付けのご依頼をいただきました。
器具の固定の為にドリルでコンクリートに穴を開けます。
その際に出る粉で中性化の程度がわかるので
オーナー様へコンクリートの中性化試験をご提案し
お立ち会いのもと行うことになりました。
どのように中性化がわかるかといいますと
フェノールフタレイン溶液を使います。
フェノールフタレイン溶液は透明な液体ですが
アルカリに反応すると赤く変色します。
中性では反応しません。
科学ってすごい。
ということで試験では
コンクリートキリに目盛りを書き、深さを測り
丸い濾紙に4分割の線を引き、フェノールフタレイン溶液を吹きかけ(1分割=深度10mm)
ドリルの進みに合わせて濾紙を回転して中性化が進んでいる深さ程度を確認しました。
コンクリートキリに10mm刻みの目盛り
丸い濾紙を4分割=深度0-40mm
試験中、ドリルの進みに合わせて濾紙を回転
深度12mmあたりで赤く反応
以後、アルカリ反応が続く
試験完了
結果、こちらの築20年の打ちっ放しコンクリートでは深さ12mm程度の中性化が進んでいることがわかりました。
この試験からコンクリートと鉄筋を中性化から守るためにコーティングやタイルを張るなどで
コンクリートを直接、雨風に触れさせないことの重要性がわかります。
そしてメンテナンスの有無は資産価値に繋がります。
弊社のコンクリートは「打ちっ放し+コーティング」が標準仕様です。
手すりも無事付きました。
オーナー様、撮影ご協力ありがとうございました。
小幡 尚平